愚者
自棄に私の周りに変な気配を感じる。気の所為だと思いたいが私の本能が警鐘を鳴らす。何か起こるのかも知れない。不吉な兆候を感じる。私はバーとしての深夜営業を終えて片付けをしていると、鈴が鳴りドアが開かれた。
「邪魔するぞ」
「どうも……」
富田が不意に現れた。本能が鳴らした警鐘の意味は富田の来訪だったのか。先日の公園での仕切りと、関との遣り取りを見る限りではかなり危険な人物だと云う事は十二分に分かっている。問題は如何して私に眼を付けたかだ。
「もう店仕舞いか?」
「閉店の時間を過ぎましたからね」
「一杯位飲ましてくれても良いんじゃないのか?」
「結構ですよ。但し肴は用意出来ませんけどね」
「構わんさ」
富田が鋭い眼付きで店内に入りスツールに座る。私はキャビネットから適当な酒を見繕い、グラスに氷を放り込みオン・ザ・ロックスで出す。
「手荒な動きに見えて、無駄の無い作り方だな」
「誉め言葉ですか?」
「そう云う事だ」
富田はグラスを光に翳した後に一口含み頷く。
「コーン・ウィスキーか」
「プラットバレー・ストーンジャグです。今の富田さんにはお似合いだと思いましてね」
「ふん。俺の心を見透かすってか?」
「他意はありませんよ」
来訪の意味が全く読めない。ふらりと飲みに来たと云う訳では無い筈だ。如何したら良いのかを思案していると、富田がカウンターをコツコツと叩く。
「失礼」
私は灰皿をカウンターに差し出し、富田が煙草を咥えるのを切欠に話し出す。
「邪魔するぞ」
「どうも……」
富田が不意に現れた。本能が鳴らした警鐘の意味は富田の来訪だったのか。先日の公園での仕切りと、関との遣り取りを見る限りではかなり危険な人物だと云う事は十二分に分かっている。問題は如何して私に眼を付けたかだ。
「もう店仕舞いか?」
「閉店の時間を過ぎましたからね」
「一杯位飲ましてくれても良いんじゃないのか?」
「結構ですよ。但し肴は用意出来ませんけどね」
「構わんさ」
富田が鋭い眼付きで店内に入りスツールに座る。私はキャビネットから適当な酒を見繕い、グラスに氷を放り込みオン・ザ・ロックスで出す。
「手荒な動きに見えて、無駄の無い作り方だな」
「誉め言葉ですか?」
「そう云う事だ」
富田はグラスを光に翳した後に一口含み頷く。
「コーン・ウィスキーか」
「プラットバレー・ストーンジャグです。今の富田さんにはお似合いだと思いましてね」
「ふん。俺の心を見透かすってか?」
「他意はありませんよ」
来訪の意味が全く読めない。ふらりと飲みに来たと云う訳では無い筈だ。如何したら良いのかを思案していると、富田がカウンターをコツコツと叩く。
「失礼」
私は灰皿をカウンターに差し出し、富田が煙草を咥えるのを切欠に話し出す。