消え行く花のように



「急ごう」

思わず見入ってしまいそうになり、いけない、と頭を軽く振り、リエルの手を引く……

――バンッ

少々手荒に開けられたドアの音に、店の奥で本の整理をしていたガーフィールドが、驚いた表情で振り返った。

「なんだ、ジュードか。新しい『本』ならまだ来てないぞ」

俺の顔を確認して、ほっとしたような表情に戻ったガーフィールドが言う。

「いや、依頼のことじゃない。今日は別の用で来た」

そう答える俺の後ろに視線を移したガーフィールドは、リエルの姿を見つけると、口元を柔らかく緩ませ笑った。

「なんだ、お嬢ちゃんも一緒かい? 寒かったろう? どうしたんだい?」

まるで孫にでも会ったかのように嬉しそうに口を開いたガーフィールドに、俺はコートのポケットから紙幣の束を取り出し突き出し、手渡す――

「急ですまないが、暫くリエルを見ててくれないか? 金は好きに使っていい」



< 44 / 101 >

この作品をシェア

pagetop