消え行く花のように
「急ごう」
思わず見入ってしまいそうになり、いけない、と頭を軽く振り、リエルの手を引く……
――バンッ
少々手荒に開けられたドアの音に、店の奥で本の整理をしていたガーフィールドが、驚いた表情で振り返った。
「なんだ、ジュードか。新しい『本』ならまだ来てないぞ」
俺の顔を確認して、ほっとしたような表情に戻ったガーフィールドが言う。
「いや、依頼のことじゃない。今日は別の用で来た」
そう答える俺の後ろに視線を移したガーフィールドは、リエルの姿を見つけると、口元を柔らかく緩ませ笑った。
「なんだ、お嬢ちゃんも一緒かい? 寒かったろう? どうしたんだい?」
まるで孫にでも会ったかのように嬉しそうに口を開いたガーフィールドに、俺はコートのポケットから紙幣の束を取り出し突き出し、手渡す――
「急ですまないが、暫くリエルを見ててくれないか? 金は好きに使っていい」