愛してるのに愛せない
「話は失礼ながら聞かせてもらったよ。君たちが思ってることをできる限り話そう…」
リビングに移動した俺たちは、彩の両親と向かい合うように座って話す。
「じゃあ、単刀直入に聞きます。彩がエイズだということは知っているんですよね?」
俺はかなり失礼だと思いながらも聞くことにした。
まずは彩の両親が、彩のことをどう思っているのかが気になったからだ。
「それを話すには、長くなるが…大丈夫かね?」
長くなるのは構わないが…彩が心配だ。
それなのに、この両親は心配じゃないのか…?
「大輝…レイ…。彩を頼む…」
「わかった…あとで話し聞かせろよ?」
「私たち、彩を探してきます。お邪魔しました…」
大輝とレイは彩を探しに行き、俺は残って彩の両親と話すことになった。
「これで長い話でも少しは落ち着いて聞けます。お願いします」
俺がジッと見つめると、彩の父親は深く溜め息をつくと話し始めた。