愛してるのに愛せない
ガチャッ……「ただいまぁ~」
自分たちで作った夕飯を半分くらい食べたところで、兄貴が帰ってくる。
兄貴が靴を脱いで入ってくると全員の視線が兄貴に集中した。
「おっ?仲良くやってんな」
「おかえり」
『あっ、お邪魔してます』
兄貴が喋ると、俺はおかえりの一言。
彩と大輝は兄貴に挨拶をした。
「そうだ。飯、今準備するよ」
俺は立ち上がって台所に行く。
「ん。サンキュ」
そう言って兄貴はテーブルの方に向かう。
彩と大輝は緊張しているのか、一言も喋らずに沈黙が流れた。
「君たちが海斗の親友かい?」
沈黙を破った兄貴は突然のように彩と大輝に聞く。
二人はなんて言ったらいいか、わからない様子だ。
「大輝は親友だけど、彩は入学式にできた友達だよ。…まぁ、これから二人とは大親友になるけどね」
ちょうど兄貴の夕飯をよそった俺がテーブルに置きながら兄貴の質問に答える。