愛してるのに愛せない
「そういえば……彩って、初めて会ったときと変わったよな…」
「えっ…そうかな…?」
泣き止んだあたしは、海斗に手を握られたままでいた。
あたしが落ち着いたのを見計らって、唐突に聞いてきた。
海斗があたしの顔を見ながら笑う。
「うん。最初は近づくなってオーラが出てた」
「あのときは……怖かったの」
「怖かった?えっ、俺が?」
「違うよっ」
海斗のボケにあたしは、つい笑ってしまう。
だけど…男の子が嫌いな理由…言えるかな…
「じゃあ…何が怖かった?」
「男の子が怖かった……っていうより、人間が怖かった…」
「人間か……俺は大丈夫?」
「うん…。最初は抵抗あったけど、もう大丈夫。大輝も光太さんも大丈夫だよ」
「そっか…。なんかツラいことあったんだな…トラウマになるくらいのことが…」
やっぱり理由聞かれるのかな…
やだな……海斗に軽蔑されるのは嫌だよ…
「まぁ、トラウマになるくらいだから、今は詳しく聞かない」
えっ…?
海斗は気にならないの…?
親友なら話すべきだ……あたしはそう思う…