~親友という名の絆~
「……ねぇ…涼、…帰れない…かな…?
…元の世界に…」
「え!?」
俯いた私を覗き込もうとしていた涼が目を丸くする。
「…1日でいいの。明日は大事な試合があるの…
私たちの…遥の夢が掛かった試合…
私はどうなってもいいの……
…いま私が抜けるわけにはいかない……」
「どうしてそこまで?」
「だって…約束守れないから…
だからせめて…遥の夢の道を繋げたい…」
「約束?」
「うん。小さい頃遥と結んだ約束なんだ。
『大きくなったら一緒にプロのバスケットボール選手になろう』って。
大切な約束…
この約束があるから今の私があるんだ……
……私、何言ってんだろ…初めて会った人に……」
涼を見上げる。
「そんなに大切?」
「うん。」
私は笑って答えた。
「そっか。いいよ。少しの間だけ『生』の世界に戻してあげる。」
涼もにっこり笑う。
「できるの?」
「おい、涼!」
「できるよ。」
割り込んだ翔を無視して聞き返す。
「どうして?」
「ここに留まった魂には『生』の世界に未練がある場所。
その未練を無くすため、一時的に『生』の世界に魂を戻す。
それが僕らの役目。」
涼は目をつり上げた翔をなだめるように笑顔を向ける。
「ふぅん。そうなんだ。」
「あれ?驚かないの?」
「なんだかいろいろあり過ぎて驚くのに疲れちゃった。
それにこんな所があるならそれも有りかなって。」