あの日に戻りたい・・・。
「ただいま」
「お帰り。あら、高君も一緒だったの」
「おじゃまします」
「どうぞ」

こんな感じで高ちゃんはいつも私の家に寄っていくんだ
たまには夜ご飯も一緒に食べたりするんだけど・・・・。

「今日お父さんは?」
「いないみたい」
「よかったー。」
「本当だよ」

家のお父さんは私と高ちゃんの仲を知ったとたん、高ちゃんに対する
態度がひどくなってしまった。
何でか知らないけど、高ちゃんのことが嫌いみたい。
だから休みの日は高ちゃんに会えないんだ・・・↓

「じゃあ、始めようか」
「うん」
「今日は宿題と・・・」
「レポートでしょ?社会の」
「そうそう。」
「10枚だっけ?」
「うん。難しいよね・・・。」

社会のレポートとは先生特性の原稿用紙10枚に中学で
習った歴史・公民・地理の大まかな流れの背景をまとめて3日以内に
提出するというものでこれが結構たいへんなのだ・・・。

「えーっと645年はなんだっけ?」
「平安京成立だろ?」
「そうだっけ?」
「そうだよ。忘れるなよな」
「・・・うん」

さすが!高ちゃんは頭いいな(^^)/
まだ学力検査の結果は出ていないけど絶対結果は
いいと思うな。

「今日はありがとう」
「いつもの事じゃん!」
「そうだけど・・・・あっお父さん帰って来るから
早く帰ったほうがいいと思う」
「そうだな。ばいばい」
「うん。また明日ね」

こうやって帰りはいつも高ちゃんはびくびくしながら
帰っちゃうんだ・・・。堂々と帰れる日が来るといいのにな

「ただいま」
「お帰り。お父さん」
「おう。蘭ただいま」

家のお父さんは一流の銀行員で教育にも周りの人との
付き合いにも厳しい。
今の学校に入ったのもお父さんの薦めで、そこで高ちゃんに
会ったのも偶然。
もちろん小さいときはもの凄くかわいがっていたのに今じゃ
ああだもんな

「蘭。ちょっといいか?」
「何」
「お父さんな。イタリアに転勤することになったんだ」
「え?」

衝撃的だった。
イタリア?聞いてないよ・・・。

「・・・」
「蘭。嬉しくないのか?お前も行くんだぞ?」
「私・・・日本に残りたい」

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