あの日に戻りたい・・・。
「・・・何だと?」
「私、日本に残りたい!そして高ちゃんと一緒にいたい」
「ふざけるな!!」
「どうして?お父さんはいつもそうだよね。大きくなってから、高ちゃんの事を
ちゃんと見ようとはしていない!!昔のお父さんに戻ってよ」
「とにかくお前もイタリアに行くんだ!期間は4年。来年の春出発だ。いいな」
「4年も?」
「そうだ。この際いいだろう高大君の事もあきらめなさい」
「ーッ絶対あきらめないから!」
「・・・蘭」
「お母さん」

お母さん。私あきらめたくない・・・。
お父さんに逆らえなかった私が悔しいよ。
もっともっと高ちゃんと一緒にいたかったのに・・・。
こんな事ってある?

「蘭今は我慢しなさい。蘭が高校を卒業したらいくらでも高君に
会いに行っていいから・・・。」
「お母さん・・・。」
「お父さんもね。そこまで蘭と高君の仲を否定している訳じゃないのよ
ただ・・・ヤキモチ焼いているだけよ」
「お母さん」

やっぱりお母さんは理解者だなあと思う。
それに比べてお父さんは・・・・。
女性のほうが少し大人なのかな

「それにしても・・・・。」

やっぱり来年って急だよな・・・・。
高ちゃんになんて言おう・・・。
たぶんびっくりするだろうな。

「らーん。お風呂あいたわよ」
「はーい」

この日お父さんと話したのはあのけんかだけ・・。
後はパスポートの説明をお母さんにしてもらった。
表裏にびっしり書いてある質問用紙が2枚。
それを書くのに一時間くらいかかった。
結構大変だったなあ・・・・。

「後は、写真を撮りに行かなくちゃ・・・」
「笑顔で移るんだぞ」
「・・・うん」

着々と進んでいく準備。
出発は来年のはずなのに、もうパスポートと
すむマンションは決まっていた。

「早いなあ」
「蘭。高君に話しておいで」
「・・・うん」
「つらいと思うけど・・・こればっかりは仕方ないもの
また会えるわよ」


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