あの日に戻りたい・・・。
「高ちゃん」
「蘭。終わったか?」
「うん。帰ろう」
「そうだな」

後は・・・。
高ちゃんに報告するだけになってしまった

『一番つらいのを残したな・・・。』

そう思ってしまう自分を少し責めたくなってしまう。
だけど時間は待ってくれない・・。
そう考えているうちに高ちゃんの家に着いてしまった。

「ただいまー」
「おじゃましまーす」
「お帰り。あら、蘭ちゃんこんにちは」
「こんにちは」
「どうぞ。上がって」
「はい」
「俺の部屋でまってて」
「わかった」

慣れた足取りで高ちゃんの部屋に行く。
この仕草も、もうしなくなるんだなあ。
部屋に入ると、いつもと変わらない風景があった。
シンプルにまとめてある部屋はテレビとコンポ。それに
机とベットがおいてある。

「お待たせ。はい紅茶」
「ありがとう」
「それで、大事な話って?」
「あのね・・・。この話は、高ちゃんの家族にも聞いてほしい話なんだ」
「そんなに大事なこと?」
「うん」

本当に大事なことだよ・・・。
もう一生会えないかもしれないんだから。

「じゃあ、親父とお袋がいた方がいいって事?」
「出来れば・・・。」
「いま、親父はいないからお袋だけでいいか?」
「うん。いいよ」
「ちょっと待ってろ。呼んでくる」
「うん」

本当に報告しなくちゃ。
明日出発なんだから・・・。

「つれてきたぞ」
「何かしら。蘭ちゃん」
「実は・・・・。」
「ん?」
「私、明日イタリアに引っ越しします」
「・・・え?」

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