シムーン
まだ幼さが残る顔立ち。

色素の薄い白い肌。

二重の大きな目。

ピンク色の唇。

そして、パーマがかった黒い髪が特徴的だった。

「――あれ…?」

キャリアウーマンのような黒のパンツスーツを着ている彼女はパンフレット片手に首を左右に動かしていた。

新入社員だろうか?

「君、どうしたの?」

俺は彼女に声をかけた。

「会場がわからなくて…」

ソプラノの声で、彼女が言った。

「会場ならこっち」

俺は指を差した。
< 24 / 176 >

この作品をシェア

pagetop