シムーン
「よかった、見つかった…」

すると、彼女はホッとしたように笑顔を見せた。

ドキッ…と、俺の心臓が音を立てた。

「ありがとうございます!」

笑顔でお礼を言いった彼女に、また俺の心臓がドキッ…と鳴った。

「あの、君…」

声をかけた俺に気づいてないと言うように、彼女は早足に会場へ向かった。

フワリと、甘い香りを漂わせてパーマの黒髪が揺れる。

その甘い香りは彼女自身が使っている香水なのか、シャンプーなのかはわからない。

一目ぼれだった。

たった一瞬で、彼女に恋をした瞬間だった。
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