シムーン
中原真希――彼女を思うと、胸が苦しくなる。

彼女を思うと、胸がザワザワとする。

この気持ちは、一体何なのだろうか…?

「――以上で、打ち合わせを終わります」

その声にハッと我に返ったのと同時に、あちこちから椅子を引く音が聞こえた。

ああ、終わったのか。

どうやら、打ち合わせが終わったらしい。

ほとんどの内容を右から左へと聞き流してしまっていた。

何してるんだよ、俺は。

そう思いながら椅子から腰をあげて、彼女の方に視線を向けた。

彼女はまだ椅子に座っていた。

気づいてないのか。

彼女のところに行って、声をかけようとしたその時だった。
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