アリィ
おかしい。
私のどこが?
それは全部だ。
知っているんだ、この世でひとりぼっちの人間が当たり前じゃないことくらい。
聞くまでもないこと、分かりきったこと、これでも自覚はあるだけマシでしょう?
「大丈夫」
「そう、か……?」
父は納得のいかない顔をした。
不思議、不思議、不思議なことだらけ。
それから父は黙りこんだ。
あれを食べろこれを食べろ、とせっつかれなくなったから、私は食べるのをやめた。
静か。
なんだかとても眠くなってきた。
ベッドに行きたいけれど、動くのさえおっくうなほど眠たい。
まぶたが重い、こんなに重いなんて、私はもう一生まばたきすらできないかもしれない。
目をつぶったままでいる生活はどうだろう。
嫌なものを見ないで済むのはとても気が楽だけど、本が読めなくなるのはとても残念。
それに、視覚の思い出がこれ以上増えなくなるなんて、寂しい。
もっと綺麗なものをたくさん見ておけばよかった。
だって思い出すのがアリィの不細工な顔ばかりだなんて、いたたまれない。
いたたまれない。