アリィ


『運命の分かれ道』は、私の登場によって騒然となった。


どよめく生徒達。


「お前……」


五十嵐先生は絶句している。


次から次へと問題児が現れて、可哀想に。


同情はする、でも反省はしない。


どんなに怒鳴られたってののしられたって、この心は揺るがない。


そんな私の気合に押されたのか、五十嵐先生は予想に反し、静かに私を促した。


「こっちに来なさい」


私はおとなしく五十嵐先生の後に続いた。




五十嵐先生が向かったのは、運動場の方向。


このまま体育教官室に連れて行かれるのだ。


計画通り。


これでアリィに会える。


しかし、目の前の大きな背中は教官室の扉の前を通り過ぎて行った。


どういうことだ。


五十嵐先生が歩みを止める気配はない。


教官室でないなら、職員室だろうか。


しかし、この方向に職員室はない。


だってその先は教室があるのとは別棟の、健康な生徒にはあまり馴染みのない校舎。


渡り廊下の先にあるのは、事務室と、それから。


「ここで靴を脱いで、スリッパに履き替えなさい」


あるのは、この先にあるのは。……


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