君が、イチバン。
定時を迎えてそのまま一条さんと一緒に事務所へ向かう。肩を並べて歩くこの珍妙な光景を誰かに見られたくないな、と思っていたら後ろから声がかかった。
「…お疲れ様です」
相変わらず無愛想で、だけど、相変わらず中性的な綺麗な顔立ち。
「ああ、四宮君。お疲れ様」
シノミヤクン。初めて聞いたその声は低い綺麗な声。
というか…四宮君、君、男?
男の子だ、とハテナを飛ばす私を見ると一瞥しただけで軽く会釈して、それから一条さんに口の端だけ上げて笑いかける。
「…さっそくですか?」
と少し笑いを含んだ声は、明らかにからかいの色をしていて意味が分からない。
「変ないいがかりはやめてくださいね?」
一条さんが鼻で笑う。
「…僕には関係ないですけどね。」
四宮君は綺麗な声でまた含み笑いをした後、私をまた冷めた瞳で見ただけだった。
素晴らしく感じが悪いその態度から印象は最悪。だけど私は大人だ。私は大人。
実際はミジンコ並の心の狭さに蓋をして余裕たっぷりのスマイルですぐに笑い返したさ。