君が、イチバン。

一条さんはまた小さく吹き出した。秋吉さんは手を叩いて拍手を送ってくれる。

「若咲さんは、侮れないなー、要注意人物だねー」

秋吉さんが整った顎髭を触りながら言う。お酒の席のモテ期は終わったらしい。

酔ったのか気分がいい。飲み過ぎないように気をつけないとな。
おもむろに視線をさまよわすと、いまだ透明感のある美少年と目が合った。逸らす事なく、視線が絡んで少し眉を寄せた四宮君が可笑しい。
取って食ったりしないよ、と笑いかけてみる。

あ、逸らされた。

嫌われたのか、かまわないけど。と思ったらまたこっちを見て、唇を動かした。口パクというやつだ。


の?み?す、ぎ?


ふは、四宮君、優しい。うける。


「なんか、楽しそうだねー、これもどう?」

一人で、ぶ、と笑っていると秋吉さんが赤い綺麗なカクテルを渡した。

「若咲さんはビール以外駄目でしたよね」

一条さんが穏やかに制す。

「そうなの?一杯くらいいいじゃない?甘いしジュースみたいなものだよ、酔わないって」


ニヒルに笑う秋吉さん。


「秋吉さん、それは下心丸出しの親父に使い古された口説き文句に似てますよ。ああ、勿論秋吉さんはそんな人ではありません。知っています。喉が乾きました。代わりに僕が頂きましょうか」


一条さんが微笑んで、グラスを取った。秋吉さんは笑顔を固まらせる。そして相変わらず優雅な動作でクイと飲み干した。

華麗だ。華麗すぎる。







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