君が、イチバン。

「…降りる」

「え?」

停まれ、という四宮君。半端なく機嫌が悪い。仕方なく路肩に停まる。

「急にどーした」

ヘラリ、と笑ってみたけど、四宮君の表情は固い。


「気になる女の誰の趣味か分かんねー車に乗って誰の趣味か分かんねー音楽聞く程、おめでたくねーよ」



飾らない言葉。

攻撃的にそれが降ってきて胸をつく何かがなかったと言えば嘘になる。

「…四宮君」

若いってさ、本当罪だ。そんな透明で真っ直ぐな瞳で見つめられたら、自分がすごく汚く感じる。

「すごい殺し文句だよ、それ」

上手く、笑えない。

ずるいな、と思う。四宮君の真っ直ぐさが。それに向き合わない自分が。

「…うるせ」

不機嫌で、無愛想で、それでも下を向かない四宮君が忘れた筈の『あの人』に似ていて眩しかった。

< 86 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop