魔念村殺人事件
「大丈夫? 正信」


 瑞穂が心配そうにしながら、車の助手席に正信を先に乗せ、そして運転席に回ると、章吾と春樹に声をかけた。


「じゃ、先に行くから着いてきてね」


「分かった。鈴音、お前も風邪ひかないように早く乗れ」


 章吾は瑞穂に返事をすると、鈴音を助手席に座るよう促した。鈴音は震えているように見えたが、それはきっと何かに怯えているのだろう。おそらく見えない犯人の影に……。


「陸、俺達も乗るぞ」


「分かった」


 車三台に乗り込むと、瑞穂の運転する車を先頭に黒田家へ向かった。

 振り続ける雨のせいで、車は水しぶきを上げ、窓にたくさんの泥が跳ねている。

 すぐに車は黒田家の前に到着し、三台の車を停め、ぞろぞろと家に入っていった。


「ひとまず、お茶の間に行きましょう。私タオル持ってくるわ」


 瑞穂は先に廊下を進んで行った。

 後からお茶の間に入った五人は座り、見渡すと、それぞれ雨に濡れていることが分かる。

 そこへ浴室に行ってたのだろう、瑞穂がいくつかタオルの束を抱えていた。
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