魔念村殺人事件
「俺はトランクから水取ってくる」


　そう告げると、廊下を小走りに外へ出た。そして車のトランクに入れておいたペットボトルの水を何本か取り出すと、すぐ家に入り、玄関から向かって右側の二番目の部屋をノックした。


「はい。どうぞ」


　正信が掠れた声で返事をしたので、引き戸を開けた。

　そこには布団が敷かれており、仰向けに寝ている正信がいた。額には濡れタオルがしてあったので、春樹が乗せたのだろう。　


「大丈夫？　水分はたくさん摂った方がいい。章吾さんも皆心配してるよ」


「あ、ありがとうございます」


　陸はペットボトルの封を開け、正信の身体を少し起こすと飲ませた。枕元に残った水のペットボトルを置き、正信の身体をゆっくり布団に寝かせた。

　　
「じゃ、何かあったら声かけるんだよ。皆お茶の間にいるからね」


　そう云って陸は立ち上がり、部屋を出ようとすると、正信が掠れた声を出した。
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