ばい


「そういえば、その人は…?」

「あ…イトコの知り合いで仁っていうの。
仁、こっちは私の幼なじみの城崎慎(きざきしん)。」



幼なじみ…?


それだけの関係じゃないだろ…?


幼なじみだけだったらあんな顔しない。



「イトコって…尚輝?」

「うん。」



尚輝のことまで知ってるのかよ…



「そういえば…」

「そんなことあったね。」



二人は昔話を懐かしそうに話し出した。



…嫌だ。


聞きたくない。


俺の知らない乃亜の昔のことなんて…


知りたいけど…


この二人の話からは知りたくない。



「仁…?」



気付いたら俺は1人で買い物をして帰ろうとしてた。



「…帰る。」

「え…?」

「帰る!」



ガキみたいに怒鳴って1人で車に戻った。


あれ以上、アイツと乃亜が一緒にいるところなんか見たくなかった。


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