ばい


「ママ、ねんね?」

「そうだよ。だから静かにしてような?」

「うん」



愛菜は静かに俺の膝の上に座り乃亜を見ていた。


俺は乃亜の顔をずっと見ていた。



久しぶりに見た乃亜は以前より痩せていて


1人で頑張って愛菜を育てたんだろうと思った。


両親も手伝ってくれたんだろうけど…


乃亜の性格からして出来る限り1人でやってきたんだろうな…



「パパ?」

「ん?」

「ママのことしゅき?」

「好きだよ?」

「あいにゃは?」

「好きだよ」

「あぃにゃもパパしゅき」



愛菜は俺の言葉に凄く嬉しそうに笑った。



「あぃにゃね、かじゅくんがしゅきだから
ばぃっていっちゃら、怒られちゃの…」

「ばぃって?」

「ママがしゅきなひとには
ばぃばぃじゃなくて、ばぃっていうっていっちゃの」



あぁ…


乃亜の『ばぃ』は愛情表現だったんだ。


それを愛菜を通して初めて知った。



そんなことを考えてたら…



「…ン」

「ママ」

「乃亜…」



乃亜が目を覚ました。


.
< 89 / 95 >

この作品をシェア

pagetop