せーしゅん。【短編集Ⅲ】
そう注意されたのは、
今日の日本史のテストで3番目の問題を
織田信長と書いたか徳川家康と書いたか思いだそうとしてる時だった。
「はっ?俺たちベンチに座ってるだけなんだけど。」
池田が誰かを睨みつけた。
「だから、それを言ってんじゃない。」
池田が睨みつける先には清掃服を着た若い女がいた。
「ベンチに座ってるかと思えばぼーっとしてるだけ。
ベンチの下にあるゴミを取りたいのに、
これじゃあ日が暮れちゃうじゃない。」
女は愚痴をこぼすかのように言う。