色葉
「おかげで石動様に会えました」


頬をほんのり桜色に染め、視線を外すエリサ



今日一番可愛い


しかも不意打ちの為か、心臓が騒いでるのがわかる



どうやら無意識にエリサに向かって手を伸ばしていたらしい


表情という表情が消え去った美鈴に捕まれて気付いた


良かった。危うく大変なことをしそうになった


でも捕まれたとこが尋常じゃなく痛い


「え~と美鈴さん?エリサにばれるよ?」


は、反応がない。あれ?もしかしてオレヤバイ?


「美鈴さん?気を確かに」


「下劣の・・・・・・下賤の・・・・・・・・・・・・害虫の・・・・・・・・・・・・・くそ野郎の・・・・・・・・・・・・ゴミ野郎の・・・・・・・・・くせに・・・・・・・・・・」


ヤバイ。譫言を言い始めてるよ


それに表情が段々鬼の形相になってる気がする


「お嬢様。もう少しで授業が始まりますので急ぎ教室へお戻り下さい」


スゲェ感心するなぁ。


さっきまでの表情が嘘のように綺麗すぎる程の笑みだ


エリサはその言葉にハッとし、美鈴に向き直る


「もうそんな時間ですか?」


「はい。後のお話は私がお聞きしますので、どうかお嬢様は先に」


「わかりました。石動様。また会いましょう。」


そう微笑んでエリサが物置のような空き教室から出て行った


「よし。オレも授業に遅れたらいけないし行かなきゃな」


グッと引っ張られる腕。その先に能面のような笑みをした美鈴


逃げは失敗か


「まぁそう言わず、ゆっくりしていって」


それからの記憶がなく、気がついたら節々の痛む体


体の調子を確かめ、骨が折れてない現状を親に感謝した



< 75 / 178 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop