Love Step

興味

「ゆきちゃん!」


車の外で待っていた雪哉にすごい勢いで駆け寄ってきた杏梨。


「お帰り」


助手席のドアを開けてあげると杏梨はにっこり笑って乗り込んだ。


雪哉が運転席に着くのを待ってから杏梨は口を開く。


「ゆきちゃんのオフィスに行っていい?」


「かまわないけど、つまらないだろう?」


サイドミラーを確認し後方車に視線を移しながら雪哉が言う。


「読みたい雑誌があるの」


「読みたい雑誌?」


運転をしながら杏梨に顔を向ける。



「いいからっ!ちゃんと前を向いて運転してっ」


深く聞かれたくないのか杏梨はそう言って話を終わらせた。



* * * * * *



雪哉の後から店に入った杏梨は受付にペコリ頭を下げると階段に向かった。


「で、読みたい雑誌ってどの雑誌?」


「……っと、あ!これでいいの」


数冊表紙を確認して杏梨は施術してもらった日に読んだ雑誌を手にした。


「もういいから ゆきちゃんは仕事してきて」


ソファーにちょこんと座り、すでに雑誌を見始めた杏梨は顔を上げずに言う。


その姿に雪哉は笑みを漏らす。



ファッションに興味が出てきたのは良い兆候と言えるだろう。


「じゃあ、俺は下へ行くから」


真剣に雑誌を見ている杏梨に言うと部屋を出た。


雪哉が出て行くと杏梨は急いでカバンを開けてノートとペンを出す。


そして雑誌の名前を書きとめた。


これで本屋さんに行ってもすぐ分かるよね♪


雑誌を元あった場所に置くと杏梨はオフィスを出た。



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