Love Step
* * * * * *



美咲を送り出すと果物を買い自宅へ急いだ。


静かに杏梨の部屋をノックすると中から返事が聞こえた。


ドアを開けると驚いた顔の杏梨が目の前に立っていた。


「どうしたの?早いね?」


「ただいま それより寝ていなかったのか?」


「え?う、うん もうすぐ期末テストだから」


「でも寝ていないとダメだろう?」


咎めるようなそして甘い声。


「もう大丈夫なんだよ?熱もないし」


雪哉は杏梨の言葉を確かめる為に額に掌を当てた。


「そうだな なさそうだ」


ゆきちゃんの手……気持ちが良い……。


杏梨は思わず手を伸ばして雪哉に抱き付く。


抱きつくと耳に雪哉の心臓の音が聞こえてきた。


規則正しい心臓の音……。

私が抱きついてもドキドキしないのかなぁ……。

わたしは痛いくらいにドキドキしているのに。



「杏梨、すごい進歩だね?」


杏梨から抱きつかれ驚いた。


すごい進歩……そうなのかなぁ……でもね?ゆきちゃんだから大丈夫なんだよ?


杏梨は顔を上げてにっこり笑った。




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