Love Step
* * * * * *



スプリングがきしむ音と、梨沙の甘く啼く声。



身体の下できれいな身体がくねらせているのを、どこか冷めた目で見る俺がいた。

さっきの梨沙への気持ちは消えていた。

愛していないのに抱く俺は最低だ。



「峻……くぅん……?」


動きが止まった峻を、梨沙は目を開けて見た。


「峻って呼んで」


峻くんと呼ばれるとアイツを思い出してしまう。


峻は梨沙の鎖骨に唇をあてた。


「っ……ぁん……しゅ……峻……」




* * * * * *



梨沙を抱いたまま、峻は荒い息を吐いていた。


峻の胸に頭を乗せた梨沙も同様だ。


「峻……またあたしを抱きたいと思ったらいつでも言ってね?」


「梨沙……」


「あたし、峻に抱かれるのが好きだから」


本当は心が欲しい すべてがあたしに向いて欲しい。

だけどそれを言ったらもう二度と連絡してくれない気がした。


峻が戸惑った顔で梨沙を見ている。


梨沙はにっこり笑った。


「そんな顔しないでよぉ」


峻の頬を軽くつまんだ。



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