Love Step
* * * * * * 



彩は真っ暗な自分の部屋で窓の外を見つめていた。


明日は人生で最高の演技をしなくては……。

最高の女優になるのよ。



ガラス窓に自分の顔が映る。


こんな事を考える私の心は醜い。

雪哉さんはあの子には渡さない。



彩は明日の事を考えていつまでも眠れなかった。



* * * * * *



今日も昨日の幸せな気分は続いていた。


ゆきちゃんの腕の中で目覚めて、ふざけあった。

あ……ふざけあったと言ってもそっちの意味じゃないからね?

キスはしたけど……。


朝食にはいつものアイスカフェオレを作ってもらった。

昨日のおかげか、今日の食欲はあった。

トーストを1枚、フルーツたっぷり入れたヨーグルト、ハムエッグ。


しっかり食べる杏梨を見て雪哉は安心した。


幸せな気分のまま、一緒にお店に出勤。


でも、その幸せな気分は長くは続かなかった……。



昨日と同じように受付で仕事をするように言われたわたしは、血相を変えた彩さんが入ってくるのが見えた。


わたしの顔をみるとつかつかと近づき……。


バシッ!!!


頬に鋭い痛みが走った。


そして頬を打った雑誌はバサッという音をたて床に落ちた。


「!!!」


ジンジンと痛む頬を押さえて彩を見つめた。


どうして……?


驚いて声も出ない。


近くにいためぐみが驚いて飛んできた。



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