Love Step
真緒の部屋に戻ると、杏梨はソファーにきちんと座っていた。


頬の赤みはだいぶ取れたようだ。


「お帰りなさい」


2人に言う。


峻の後ろを見て杏梨はがっかりした表情になった。



雪哉さんを探したのか?




「杏梨ちゃん!横になってって言ったでしょう?」


「吐いたんだって?」


2人から自分を気遣う言葉に杏梨は笑顔を見せた。


「大丈夫です、それより彩さんは?」


杏梨が聞くと真緒が「先にそれを聞くの忘れたてたわ」と笑った。


「あぁ 2・3日で退院できると思う」



姉貴の自作自演なんだろうから。



「良かった……」


目の前に果肉の入ったヨーグルトのカップとスプーンが差し出された。


「これなら食べられるかしら?」


「すみません……」


申し訳なさそうな杏梨だ。


「謝るんじゃなくてありがとうの方が私は嬉しいわ」


にっこり笑うと、杏梨の手に持たせてキッチンへ消えた。



やっぱりゆずるさんに似ている……。



「店に寄ってバッグ取ってきたよ 雪哉さんが心配しないでマンションに戻っていろって」


杏梨の横にバッグを置く。


「ありがとう 峻くん……」


「食べたら戻るか?」


「……うん」



ここにいても真緒さんに迷惑がかかる。



「食べたばかりで車に乗ったらまた吐いちゃうわよ?」


いつの間にか戻って来ていた真緒が言う。


「あ、じゃあ、少し休ませてもらってから送るよ」


「でも……」


「いいから、食べたらベッドで休みなさいな?」


自分のベッドを示した真緒に杏梨は困惑の表情を浮かべた。




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