Love Step
「ママ……わたしとゆきちゃんが恋人同士になったら……怒る?」


おそるおそる聞く娘を見て首を横に振る。



「いいえ 怒らないわ」



「ほんとにほんと?」



「ええ、むしろ大賛成よ そうでなければ若い男女を一緒に住まわせるわけないじゃない」



「大賛成……?」



「そうよ 雪哉くんなら杏梨を幸せにしてくれると思っていたから 春樹さんだって賛成しているわ」



「ママ……」


杏梨の安堵した顔を見て少し意地悪をした方が良かったかしらと思った貴美香だった。



「すっかり女の子っぽくなっちゃって、ママはうれしいわ」



「ママの目から見ても女の子っぽくなった?本当?」



「ええ、髪の毛も伸びたわね」



「あ……これはゆきちゃんにエクステを付けて長くしてもらったの」



「あら……そうだったの……トラウマは克服できたのね?」



「うん もう大丈夫」


トラウマを一生抱えて生きなければならないのかと思っていた。



そうなれば人並みの幸せな結婚は出来ない。



雪哉に杏梨のトラウマを克服させて欲しいと心の中で願っていたのだ。



傷だらけの顔をほころばせている娘を見て、事件前の娘が戻ってきたようだった。



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