Love Step
「妹さんの検査結果が出ました 問題ないと思われます ですが、24時間は観察していただいて何かおかしい様子ならばすぐにいらしてください」


雪哉に説明をする。


「わかりました ありがとうございました」


雪哉が一礼すると女医はまだ何か言いたそうだったが、携帯電話が鳴り病室から慌ただしく出て行った。




「軽症で良かったよ」


店に出勤する途中で学校から電話があった。


学校の電話に杏梨がサボったのかと思った。


事故と聞いて慌てて病院に来たのだ。


「着替えるから出て行って……」


病院の診察着から乾いた泥がついた服を着なくては外に出られない。


「着替えってこれを着るのか?」


雪哉がイスの上にたたまれた服を見る。


看護師がドロを少し落としてくれたようだがぼろきれにしか見えない。


「これでいいの」


杏梨は服に手を伸ばした。


「杏梨、待ちなさい 確かこの近くに店があったはずだ 買ってくるからここにいるんだ いいね?」


そう言って病室を出て行った。




30分後、戻ってきた雪哉は杏梨の好みどおりの服を出した。


だぼっとした男物のトレーナーに大き目のジーンズ。


「ありがとう……」


雪哉が病室を出て行った。



雪哉を待たせないように急いで着替えようとするが、身体を動かすと筋肉痛の酷い時みたいに痛んだ。



「っう……」


明日はもっと痛いかも……。


杏梨は着替え終わるとボロボロの服を紙袋に入れて病室を出た。




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