Love Step
* * * * * *


「じゃあ、行って来るよ」



玄関に見送りに来たわたしの額にゆきちゃんはキスを落とす。



「うん いってらっしゃい」



にこっと笑って左手を軽く振る。



「あっ、そうだ」



行きかけた雪哉が立ち止りふり返る。



「今日は遅くなるよ 店の暑気払いなんだ」



暑気払いにしては遅いくらいだが、店が忙しかった為に今日になったのだ。



「わかった♪」



「あー 食事はどうしようか 出前でも頼む?」



「そんな事まで心配しなくても大丈夫だよ?香澄ちゃん、午後に来てくれるし」



「そう、じゃあ香澄ちゃんによろしく」



そう言って出て行った。



香澄ちゃんがネイルサロンに行く事、言い忘れちゃった……。


忙しいゆきちゃんだから会う事はないと思うけど。



* * * * * *



午後遅くに香澄がやって来た。



得意のお好み焼きを作ってくれるらしくスーパーの大きなビニール袋を抱えてる。



「うわー たくさん買ってきたね」



キッチンで買ってきたものを出すと食材の多さに目を真ん丸くする。



「とびっきり美味しいお好み焼き作ってあげるからね♪」



お好み焼きも気になる杏梨だが、もっと気になる事があってそわそわした感じだ。



香澄が冷蔵庫に食材をしまうのを後ろでうろうろしている。


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