Love Step
* * * * * *



10分ほど沈黙が続いていた。



リビングの部屋はクーラーが効いているせいもあったが、2人を取り巻く空気が更に冷たく感じる。



ほんの20分前まではいつもと同じ夕食の時間だった。



家に戻ってきた雪哉は杏梨が不自由な手でなんとか作ったカレーを食べた。



最近スーパーではじゃがいも、たまねぎ、にんじんが切れて真空パックに入っているのが売っている。



帰りにスーパーに寄った杏梨はこれなら片手でも作れそうだと買ったのだ。



後はお肉とルーを入れるだけだから手際は良くなかったもののちゃんとカレーが出来た。



帰ってから何か作ろうと思っていた雪哉はカレーに驚いた。



美味しいと褒められて夕食は食べ終わり、お茶を飲んでいる時に事は起こった。



「ゆきちゃん、何か言いたい事があるよね?」



いつもよりは言葉少ない雪哉だったので、きっと琴美のことだろうと思った。



「杏梨からは何もないのかい?」



「あるよ?琴美さんとランチした」



「あれほど言ったのにどうして会うんだ?」



雪哉は疲れた表情で杏梨を見ている。



「琴美さんは悪い人じゃないよ?」



疲れた表情のゆきちゃんは好きじゃない。


なんだか自分が悪い事をしたかのように思えてきてしまう。



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