Love Step
* * * * * *



雪哉の店には言われた通りにぴったり行くつもりたった。


今日の服装に気を使いたかったが、持っている服はすべてがメンズ服。


薄手のグレーのトレーナーにダボッとしたジーンズ。


鏡に映る自分を見ると重いため息が出て外に出たくなくなる。


玄関でどうしようと悩んでいるうちに11時になってしまった。



~~~♪


携帯電話の着信メロディーが鳴り響き、杏梨は驚いて飛び跳ねた。


ゆきちゃんだ……。


「も、もしもし……」


『杏梨、起きてるか?』


「う、うん」


『メモ見ていない?』


「う、ううん……」


なんとも歯切れの悪い杏梨だ。


『ならどうした?早くおいで』


「ゆきちゃん……」


心細そうな声に雪哉はなんとなく分かった。


『仕方ないな、今から迎えに行くからエントランスにいろよ』


「……はい」


『すぐに行く』


杏梨の返事を聞くと電話は切れた。




店からマンションまで車ならば5分ほどだ。


杏梨は急いで玄関を出るとエレベーターに乗った。


マンションの外に出て待っていると見慣れた赤い車がやって来て、ちょうど杏梨の横に停まった。


雪哉が車から降りる前に杏梨は助手席のドアを開けて乗り込んだ。


なにやら急いでいる風で雪哉は片方の眉を上げた。


「何をそんなに急いでいるんだ?」


「だって!恥ずかしいんだもん」


昨日は帰ってくるのが真夜中で誰にも会わなかったが、今は昼間でイメチェンした杏梨としては恥ずかしかった。


「なぜそんなに恥ずかしがる?よく似合ってるよ……もしかして気に入らない?」


「そ、そんな事ないよ!髪型は気に入っている……けど……」


周りの人の視線が気になる。



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