空白の玉座

王妃親衛隊



王宮内の一画、王妃が所有する離宮の庭に特別な訓練場がある。

王妃親衛隊の訓練場である。

王妃親衛隊は王妃が持つ私兵のようなもので、
国王の支配下にある軍隊からは切り離されたまったく独立した機関だ。

そこで、数十名の者たちが今日も剣の練習をしていた。

一際激しい剣同士がぶつかる音を響かせながら手合わせをするリーダーと、
互角にやり合う男を皆がチラチラと眺める。


耳が隠れるほどの長さの、ベージュ色の髪の間から瞳と同じターコイズブルーの耳飾りが見え隠れする。
癖のないまっすぐな髪は彼の動きに合わせてサラサラと揺れた。

手足の長い体躯は深緑の制服を流麗に見せている。

隙のない剣さばきを受ける男は長めの茶色の髪を後ろで無造作に纏めている。

危なっかしい動作ながらも、
うまい具合に剣をかわし、攻撃の手も緩めない。




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