空白の玉座


ジェイスの剣を正面で受けて上手く弾く。キンと剣の擦れ合う音が高く青い空の下に響いた。

「クラリスの野郎、アーレス様が亡くなって王太子になるために議会やらなんやらに色々顔だしてるらしいぜ…って侍女の子が言ってた」

「…へぇ」

「もう一人の候補、リリス様って見たことないけどどうなんだ?噂じゃ酒や女やでチャラチャラした奴らしいけど」

「…どうだろうな」

「何にしても宜しくねぇよなぁ。どうなっちまうんだよ、この国は」

「……おい、まじめにやれよ」

時折剣で受け止めながらもジェイスの剣をリークはうまくかわしていた。

通常の剣稽古よりも早い太刀打ちを、普通に会話をしながら行っている2人にいつものことながらも周囲はつい目を向けてしまう。

あの2人の身体能力ってどうなってるんだ、と話しながら。








< 21 / 71 >

この作品をシェア

pagetop