空白の玉座



あれから何日経ったのか時間の感覚がよくわからない。

寝室から出る事は許されず、ルシアはただぼんやり窓から見える風景を眺めながら過ごしていた。

考えないようにしているのに、自分の意思とは関係なく夢を見る。

変わり果てた両親の姿、血塗れの兄の姿、煙の中に響いていた悲鳴。

自然と体が震える。

「起きたか?」

低い声にルシアの体がビクンと跳ねた。

体を起こすと入り口の扉に凭れて男がこちらを見ていた。

肩に触れるくらいの長さのシルバーの髪に、髪と同じ色の瞳からは何の感情も読み取れない。

服装はいつも現れる夜着と違ってきちんとしたものを身に纏っていた。

腰には2本の剣が刺さっている。

「わざわざ服を着たのか?必要ないだろ」

「…あ、食事を運んでもらうので……んっ…」

傍まで歩いてきた男に顎を引かれ唇を塞がれた。
別の手がせっかく着たルシアのドレスを落としてしまう。







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