空白の玉座
お人払いを、と言われていつもと少し雰囲気の違うジェイスに、アメリアは居住まいを正すと、彼と向き合った。
「国王陛下の新しいご側室の件ですが、やはりランスロット伯爵はご存知なかったようです。
使いの者としてきた人物も伯爵家では雇っていない者でしたが、人物を特定する事はできませんでした」
「なぜ、そんな事を…」
「理由は分かりませんが、伯爵家は何かとあの男と対立しています」
クラリス様はそれで何か得になるのかしら、とアメリアは独り言のように呟いた。
無造作に結ったオレンジの髪を弄びながら、答えの出ない考えを巡らせていると、
いきなり断わりもなく部屋の扉が開いた。