空白の玉座


海に背を向け二つの隣国に囲まれたルディア王国は、
中規模ながらも隣国とそれなりに均衡を保ち、平和な王国を築いていた。

それがここ数年で急に軍事国家に発展しつつある隣国ベルトワール帝国が、
最近になって少しずつ国境を侵略するようになってきたのだ。

それに加え各地で流行り病が発生し多数の死者が出ていると報告が入っていた。


ロキはルディア王国第一王子、王位継承権を持つ王太子として育てられてきた。

国の公行事には度々国王とともに出席していたが、流行り病にかかり命を落としてしまった。

地方都市の視察に行った折に感染したようで、
幸い王宮にそれ以上病が広がることはなかったが、未来の国王の死に皆が心を痛めた。

五日間に及ぶ王子の国葬が終わり、ようやく落ち着きかけた時、また訃報が飛び込んできた。




< 8 / 71 >

この作品をシェア

pagetop