空白の玉座
第一章
金髪の少女
大理石の床に大きな明り取り用の窓から、今日も変わらず穏やかな光が差していた。
アーチ状になった天井からは等間隔にシャンデリアが下がっている。
広い廊下に衣擦れの音だけが静かに響いた。
宰相のコーアンを先頭に国王ユリウス、王妃のアメリアが議場へと足を進める。
扉を開くと、彼らの席以外は皆埋まっていた。
それぞれが神妙な面持ちで入ってきた国王を見つめる。
それに応えるようにユリウスは小さく頷いた。
2人が席に着くのを見計らって、コーアンが口を開く。
「アーレス王子の死が王宮の使者によって確認されました。亡骸は明日戻り、国葬はその翌日より執り行われます」
議場からは嘆きともつかぬ溜め息が漏れた。
「先日ロキ王子がなくなったばかりだというのに…」
ポツリと1人の大臣が漏らした言葉が、さらに重い空気としてその場にのしかかった。