空白の玉座
第一章

金髪の少女



大理石の床に大きな明り取り用の窓から、今日も変わらず穏やかな光が差していた。

アーチ状になった天井からは等間隔にシャンデリアが下がっている。

広い廊下に衣擦れの音だけが静かに響いた。

宰相のコーアンを先頭に国王ユリウス、王妃のアメリアが議場へと足を進める。


扉を開くと、彼らの席以外は皆埋まっていた。
それぞれが神妙な面持ちで入ってきた国王を見つめる。

それに応えるようにユリウスは小さく頷いた。


2人が席に着くのを見計らって、コーアンが口を開く。

「アーレス王子の死が王宮の使者によって確認されました。亡骸は明日戻り、国葬はその翌日より執り行われます」

議場からは嘆きともつかぬ溜め息が漏れた。

「先日ロキ王子がなくなったばかりだというのに…」

ポツリと1人の大臣が漏らした言葉が、さらに重い空気としてその場にのしかかった。






< 7 / 71 >

この作品をシェア

pagetop