かわいそうに…
女の子はすでに殺されてしまったんです。

もう…遅いのです。

全てが。

犯人のご両親は、わたしの母と兄が顔を上げさせました。

そして次々とご焼香をするのに、犯人は何もしません。

ただ遺影の前に立ち―笑いました。

会場内がざわめく中、犯人はお父様に殴られ、吹っ飛びました。

けれど笑みは絶やしません。

警察の人に掴まれ、無理やり寺から追い出されるような形になってもまだ、笑顔でした。

…わたしの中で、怒りが沸き起こりました。

すでに済んでしまったこととは言え、せめてっ!

せめて、後悔してほしかった!

なのにアイツはっ!
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