かわいそうに…
…やがて人気が途絶えた時、数人の人がまとまってきました。

しかし雰囲気がおかしく、わたしは隣の母の顔を窺いました。

「…犯人と、刑事さん達、そして犯人のご家族よ」

犯人と思しき青年は、見た目は普通の青年でした。

少し大人しめの…人殺しだとは思えないぐらいの青年です。

けれどその顔は平然としていました。

自分が犯した罪を、アレは理解していない顔です。

「このたびは本当にっ…!」

大きな声に視線を向けると、女の子のご両親に、青年のご両親が土下座をしていました。

けれど2人は顔をそむけ、何にも言えずにいました。

「本当に、すみませんでした」

付き添っていた3人の刑事さん達も、悲しみの表情で頭を下げます。

けれどもう…遅いのです。
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