To Heart


桜新町の駅を通り過ぎた辺りで、巡回中のお巡りさんを発見した。

僕たちは慌てて自転車から降り、まるで2人乗りなどしていなかったように歩いてごまかした。

お巡りさんが通り過ぎた後、そんな自分たちがおかしくて、堪えきれず顔を見合わせて笑い合い、なんとなくそのまま歩いた。

僕の顔を見ながら、彼女が楽しそうに話をする。

僕の隣で彼女が笑っている。

夢みたいだ……

図書館での事を思えば物凄い進歩なのに、こうして並んで歩いていると『男』として見て欲しいと欲張りになっていく自分がいる。

彼女には、おそらく彼氏がいる。

手を伸ばせばすぐに触れることができるような距離にいても、彼女はとても遠い。
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