To Heart
「そういえば、川口くんとこんなに話したのって、初めてかもね」

「は、はい」

「なんか、クリスマスなのに自転車壊れたりツイてないなって思ったけど、お陰で楽しかった! ありがとう」

言いながら、彼女が楽しそうに僕に笑い掛ける。

ドキッとした。

夢で見た、あの笑顔だ……

まっすぐに僕だけに向けられた、彼女の笑顔。

あの日の夢が、頭に蘇る。

『今日は思いがけず、あなたと一緒にいられて嬉しかった』

夢の中の僕の台詞───。

あの夢のように彼女に言ったら、どんな反応をするだろう。

夢のように、僕の気持ちを受け止めてくれるだろうか……

あんな風に彼女に触られるだろうか……

心臓が騒ぎ始める。

僕は思わずマンションの手前でピタリと足を止めた。
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