To Heart
「おかえり。遅かったね」

「どうしたの!? 今日は、仕事で帰れないかもしれないって言ってたのに」

彼女の声は、とても弾んでいた。

会えないと思っていた彼氏に会えた喜びが、体中から溢れ出ているようだった。

彼女は彼の前で、なんて無防備な笑顔を見せるのだろう。

今まで見た、どんな笑顔より輝いている。

店では見せない笑顔。表情。話し方。

彼氏にしか見せない、彼女の素顔。

2人が付き合っているという憶測でしかなかった物が、現実として目の前にある。胸の奥がギュッと締め付けられるような感覚が襲った。

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