To Heart
「頑張って早く終わらせたんだ」

2人が会話をしている様子を、僕は固まって見ていた。

彼女を見る彼の優しい眼差しが、僕の胸を更に締め付ける。

「あれ? 自転車は?」

「それがね、急にチェーンが外れちゃって。同じ方向だからって、川口くんが送ってくれたの」

そこまで言って、彼女は僕の存在を思い出したように

「あ、ごめんね。えっと……彼は……」

と、照れた表情で彼を紹介しようとする。

「彼氏さんですか?」

僕は無理矢理笑顔を作って、彼女に言った。

「うん」

すると、彼は

「あ、この間黒板書いてた人だよね?」

と、人なつっこい笑顔で言うと

「送ってくれてありがとう」

と、僕に言って軽く頭を下げた。
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