To Heart
彼女は僕の強引な行動に、ビクッと体を震わせる。

「僕は、あなたをこれ以上雨にあたらせたくないんです。僕の代わりにあなたを守ってもらいたいから。だから」

僕は続けて、強い口調で彼女に言った。

彼女にしてみたら、きっと訳の分からない言葉だっただろう。

でもそれは『あなたを傷つける物、全てから守りたい』という思いを込めた、僕の精一杯の言葉だった。

彼女は少し戸惑いながら、僕の傘の柄を握りしめると、目を潤ませながら

「ありがと……」

と、僕に笑って見せ、それと同時に、彼女を覆っていた緊張感がふっと和らぐのを感じた。

彼女はきっと僕の思いをくみ取ってくれたに違いない。

そう思いたかった。
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