To Heart
彼女のマンションの前を通りながら、周辺に「この道路で人身事故がありました。目撃された方は……」というような看板が出ていないか気にしながら走った。
どこにもそのような物が出ていないということは、彼女は車と接触するような事にはなっていないようだ。
僕がカフェに着いたのは、店が開店する10時を少し回った頃だった。
「おはようございます」
内心ドキドキしながらも、何食わぬ顔で挨拶をしながら店に入って行く。
「あ……川口おはよう。今日朝からだったっけ?」
カウンターで作業をしていたオーナーが、不思議そうな顔で僕に言った。
今日のオーナーは、なんだか元気がないように見える。