To Heart
「いえ、6時からなんですけど、今日ちょっと大学に用事があって。その前になにか軽く食べていこうかと思って」

僕はあらかじめ用意していた通りの言葉を口にした。

言いながら店の中を見回したが、彼女の姿が見えない。

嫌な予感がした。

鼓動が早くなっていくのを感じる。

「あれ? オーナー今日は1人ですか?」

僕はカウンターの椅子に座りながら、オーナーに尋ねた。

「いや、奥に松居さんがいるよ。もうすぐ庄司も来るし」

松居さんは、時間が合わないのであまり会ったことはないが、いつも10時から3時ぐらいで入っている主婦のパートの人だ。

「久保田さんは……」

僕は急に不安になり、思わずそう聞き返した。

彼女はいつもこの時間は店にいる。

彼女が何故いないのか聞いても、そんなに変には思われないだろうと思った。


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