To Heart
「あ、川口。なに食べる?」

「あ……じゃあ、フレンチトーストで……」

本当は、なにも食べる気になどなれなかった。

しかし食べに来たと言ってしまった手前、今更いらないとも言えず───

味などなにも分からないまま、無理矢理パンを詰め込んだ。

僕が食べている間、僕とオーナーの間に会話はなかった。

「ごちそうさまでした。じゃあ、また6時に来ます」

僕はそう言い残しカフェを後にして、もの凄い勢いで用賀の彼女のマンションの前に戻った。

こうなったら、思い切って彼女の部屋を訪ねて、無事かどうかの確認だけでもしかった。
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