To Heart
息を切らしながらマンションの前に自転車を止め、なんの迷いもなく僕はマンションの中に入り、まず集合ポストで彼女の名前を探した。

しかし個人情報保護の為か、ポストに名前のない部屋の方が多い。

名前のない部屋を片っ端から周り、彼女の部屋か確認して歩くことも考えた、マンションの下で待ち伏せすることも……

でも、それをしてしまうと、なにより彼女に迷惑を掛けることになる。

結局、彼女の部屋を訪ねることを、諦めるより他無かった。

為す術もなく、呆然とアパートに戻ると、彼女への想いや後悔が一気に溢れ、涙腺が壊れてしまったのかと思うほど、涙が次々こぼれて止まらなくなった。
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